結論からお伝えすると、特定技能外国人の採用にかかるコストは、サポート体制の選び方次第で年間50万円以上の差が出ることがあります。まずは費用の全体像を把握しておきましょう。
特定技能外国人を雇用する場合、企業は大きく分けて以下の費用を負担します。①求人・採用費用(紹介手数料など)、②在留資格申請にかかる行政書士費用、③登録支援機関への委託費用、④入国後の生活サポート費用(住居確保・日本語教育など)です。これらを合計すると、1人あたり初期費用として30万〜80万円程度、月次の支援委託費として1万5,000円〜3万円程度が相場とされています。
ここで多くの中小企業が陥りがちな失敗が、「すべてを大手エージェントに丸投げしてしまう」こと。確かに手間は省けますが、1人あたり年間40万〜60万円以上の費用がかかるケースもあり、複数人を採用すると中小企業には重い負担になります。支援機関を正しく選んで活用すれば、同じサービス品質でも年間20万〜30万円程度に抑えられる場合があるのです。
登録支援機関とは?採用コスト削減のカギを握る存在の正体
登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用する企業が行わなければならない「支援計画」の実行を代わりに担ってくれる、出入国在留管理庁に登録された機関のことです。これは法律上、特定技能1号の外国人を雇用する際に義務付けられているサポートであり、企業自身が行うか、登録支援機関に委託するかを選べます。
支援の内容には、事前ガイダンス・出入国時の送迎・住居確保の支援・生活オリエンテーション・日本語学習の機会提供・相談対応など、全10項目が含まれます。これらをすべて自社で対応しようとすると、人事担当者の工数が月に20〜30時間以上かかるという試算もあり、中小企業では現実的ではありません。だからこそ、登録支援機関への委託は「コスト」ではなく「投資」と考える視点が重要です。
全国には現在3,000社以上の登録支援機関があり、価格帯・専門分野・対応言語・地域密着度などで大きく差があります。自社の業種・地域・採用予定人数に合った機関を選ぶことが、コスト最適化の第一歩です。
採用コストを大幅に抑える!支援機関の選び方3つのポイント
支援機関を賢く選ぶだけで、採用コストを大幅に削減できます。選定のポイントは大きく3つです。
① 業種・職種の専門性で選ぶ
登録支援機関の中には、介護・建設・農業・製造業など特定の分野に特化した機関があります。たとえば最近では、来日直後の特定技能外国人を対象にした介護職員初任者研修を、やさしい日本語と多言語教材を使って提供する機関も登場しています。自社の業種に精通した機関を選ぶことで、採用後の戦力化スピードが上がり、早期離職による再採用コストを防げます。早期離職が発生すると、再採用費用として1人あたり20万〜50万円の損失になることも珍しくありません。
② 月次委託費の「込み込み料金」か「オプション制」かを確認する
支援機関の料金体系は大きく「月額定額制(すべて込み)」と「基本料金+オプション」の2種類があります。一見、月額1万5,000円の定額制が安く見えても、通訳・翻訳・緊急対応などがすべてオプション扱いになっていると、実質月3万〜4万円になるケースがあります。契約前に「10項目の支援がすべて含まれているか」を必ず確認しましょう。
③ 地域密着型の機関を積極的に活用する
全国展開の大手機関は安心感がある一方、地域密着型の中小規模の支援機関は価格が10〜20%程度安く、かつ担当者との距離が近い傾向があります。地元の商工会議所や行政の外国人相談窓口を通じて紹介を受けると、信頼性の高い地域密着型機関と出会いやすくなります。
上限問題と業種変更リスク…今こそ複数分野・複数機関で備える戦略を
最近の動向として注目すべきは、特定技能1号の受け入れ人数が一部の業種で上限に達しつつあるという問題です。外食業がその代表例となっており、業界団体が上限引き上げを要請する動きも出ています。この問題は外食業だけでなく、他の分野にも波及するリスクがあると指摘されています。
この状況が中小企業の採用戦略に与える示唆は明確です。「1つの業種・1つのルートだけに頼らない」ことが重要になっています。たとえば、製造業・農業・宿泊・ビルクリーニングなど、比較的上限に余裕がある分野では引き続き採用の余地があります。また、特定技能2号への移行や技能実習からの切り替えなど、複数の在留資格を組み合わせるプランも視野に入れることが大切です。支援機関の中には、こうした制度横断的なアドバイスを提供してくれる機関もあります。初回相談が無料の機関を2〜3社比較することをおすすめします。
採用後の定着こそ最大のコスト削減。支援機関を「定着支援」に活かす方法
採用コストを本当の意味で抑えたいなら、「採用して終わり」ではなく「定着させること」が最重要です。外国人労働者の離職率は、入社後6ヶ月以内に約20〜25%に達するというデータもあり、1人が辞めるたびに再採用費用・再教育費用が発生します。
登録支援機関の支援メニューの中には、日本語学習支援・文化的摩擦への対応・メンタルサポートなどが含まれています。これらを形式的にこなすだけでなく、担当者が定期的に外国人材と面談を行い、職場環境の改善につなげてくれる機関を選ぶことが定着率向上のポイントです。定着率が高い企業は、採用コストを年間で平均30%以上削減できているという試算もあります。
また、外国人材向けの日本語・業務研修を支援機関と連携して実施することで、即戦力化までの期間を短縮できます。最近では多言語教材を活用した研修プログラムを提供する機関も増えており、言語の壁を超えたスムーズな職場統合が可能になっています。
まとめ:支援機関を味方につければ、特定技能採用は中小企業の武器になる
ここまでお伝えしてきた内容を整理すると、特定技能外国人の採用コストを抑えるためのポイントは次の3点です。①業種専門性・料金体系・地域密着度で支援機関を慎重に選ぶ、②業種上限リスクを見据えて複数の採用ルートを持つ、③採用後の定着支援に支援機関を積極活用してトータルコストを下げる、ということです。
外食業の受け入れ停止問題が示すように、特定技能制度は今まさに転換期を迎えています。この変化をリスクと捉えるのではなく、「正しい知識と支援機関のサポートがあれば、中小企業でも外国人材を戦力化できる」というチャンスとして活かしてみませんか?
まずは地元の商工会議所や無料相談窓口を活用して、登録支援機関の情報収集から始めてみてください。小さな一歩が、人手不足解消への大きな前進につながります。


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